International Collaboration Meeting for IfcRoad Standard in KICT 報告

平成28年2月22日
CIM国際標準化推進プロジェクト 古屋 弘

概 要

  1. IfcRoadおよびIfcRailwayに関する日本,韓国,中国,ドイツ,アメリカからの参加者によるCollaboration Meetingとして,2016年2月18日~19日にKICT(韓国・ソウル),2月22日~23日にCRBIM Alliance(中国・北京)で実施。
  2. 韓国でのミーティングは,Open Meetingとして開催され日本チームが出席した。
  3. 中国でのミーティングは,Closed Meetingとして開催され日本チームは出席できない。ただし,University of SeoulのDr.Kimは中国でのミーティングの開催後,情報提供をするとしている。

なお,このレポートではKICTから説明を受けたIFC Roadに関しての内容をまとめる。会議の報告に関しては,この会議に参加した有賀氏の報告に会議の内容が記載されているので,こちらも参照されたい。

 

2. 参加者

氏名

所属

2月18日

2月19日

Hyunjoo Kim University of Seoul

Kibeom Ju KICT

Hyounseok Moon KICT

Wonsik Choi KICT

Changyoon Kim KICT

Geunha Cho KICT

Minsoo Lim AutoDesk Korea

Tim Chipman Constructivity

Thomas Liebich AEC3

Hiroshi Furuya Obahashi

Takashi Aruga Conport

Bong-Geun Kim TAESUNG S&I

Han Jung Hoon DuCOMS Engineering Korea

 

3. 場所

KICT: Korea Institute of Civil Engineering and Building Technology

 

4. 期間

2016年2月17日~18日

 

4.1 第一日目(2月18日)

  1. Kibeom Ju氏よりKICTの概要の説明
  2. Hyounseok Moon氏よりIfcRoadの概要と現況の説明
  3. IfcRoadに関するディスカッション
  4. Thomas LeabichによりIfcRoad/Railwayのクラス図の説明

 

4.2 第二日目(2月19日)

  1. Hyounseok Moon氏よりIfcRoadのコンバーターとビューワーの概要の説明
  2. Bong-Geun Kim氏(TAESUNG S&I)によるコンバータのデモンストレーション
  3. Han Jung Hoon氏(DuCOMS Engineering Korea)によるビューワーのデモンストレーション
  4. Tim Chipman氏(Constructivity)による,アメリカの橋梁モデル開発の取り組みに関する説明
  5. Tomas Leabich氏(AEC3)による,ミュンヘン工科大学が開発したビューワーの説明。

 

5. 韓国が開発中のIfcRoadの背景

InfrBIMの開発項目の一つとして実施中。開発・研究内容の全体像は下図のとおりであり,橋梁,トンネルも開発のターゲットとなっている(図-1)。

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図-1 IfcRoadに関する研究内容の全体像

 

  1. InfraBIMにおいて必要とされる情報要件定義 : 形状,スケジュール,コスト
  2. ターゲット : 道路,橋梁,トンネル
    ※ただし,道路の定義が曖昧であり,本来の考え方から言えば橋梁やトンネルは道路を構成する構造物の一部と考える事も出来る。このことから,用語の定義を(国内でも)早急に実施することが望まれる。
  3. 開発するシステム : コンバーター,チェッカー,ビュワー

 

6. IfcRoadに関して

IfcRoadの開発必要性に関しては,KICTから以下のように説明されている。

  1. ほとんどの土木構造物の設計は2次元の図面で提供されている。
  2. 標準化,共通の交換フォーマットは,現状では国際標準が存在しない。
  3. InfraBIMを適用するにあたり,IfcRoadとGIS統合の融合が国際的なニーズとなりつつある。
  4. IfcRoadにおいて構造物のライフサイクルのデータを統合することも国際的なニーズである。
  5. ISO16739の改正における重要性(IFC5)
  6. IfcRoadはIFC4(IfcCivilElement&IfcCivilElementType)に基づく予定。

 IfcRoadはそのターゲットが拡張されつつあり,図-2,3に示すように,土木においてBIMで扱っているデータと異なる特有幾何形状である線形,地形レイヤー,およびその他の補助的な機能によって3次元道路設計をサポートすることを基本とし,その他の土木構造物の記述に必要な交換標準を開発することであるとされている。公式なIFC4に基づき,道路-IFCはIFC4をベースとして,Express-G(ISO10303-11)により大幅な変更を伴わずにIFC4構造と一貫して結び付けられることを目標としている。

 

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図-2 IfcRoad Extensionの範囲

 

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図-3 IfcRoad 拡張の範囲に関する概要図

 

 この開発に関して,KICTは2012年から5年間で$ 3,000,000をかけ,「Development of Information Model Standard and Verification Technique for Infra BIM」というプロジェクトタイトルで開発を行っている。開発はAutodesk社のCivil3DおよびRevitStructureにて行われている。

 2016年3月現在で開発は4年が経過したが,道路構造物のEntityはほぼ完成(網羅)しており,図-4に示すようなIfcRoadの拡張を目指している。なお,この図にはIFC4におけるIfcCivilElementとIfcCivilElementTypeの関係性も示されている。また,図-5にはIfcRoadの拡張の具体的なEntity開発のターゲットを示す。

なお,拡張に伴うスキーマの基本的な構築も進みつつある。空間情報,道路構造,土工事,施設,構造,排水,材料,その他の開発も実施されている。

 

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図-4 Extension Scope to IFC4 Entity for Road

 

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図-5 Extension Scope to IFC4 Entity for Road

 

 さらに,IfcRoadは空間表現の拡張も考慮されており,ifcSite,ifcSpaceとの関係性を保ちつつ,図-6に示すような空間情報定義に関する開発のコンセプトを示している。この開発に関する監修はThomas Liebich博士も加わり韓国で5日間をかけて検証された模様。

 

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図-6 Spatial Extension for IfcRoad

 

7. IfcRoadのバージョンアップ

 KICTはifcRoadに関連する橋梁,トンネルの新しいスキーマの開発だけでなく,ifcRoad自体のQTOへの利用拡張を実施し開発を行いつつある。これに伴いIDMの作成を実施し,V0.9が完成している。IDMのベースとなったProcess MapとER(Exchange Requirements)図を図-7,8に示す。

 なお,仕様書も完成している模様であり,英語版が出来次第入手予定である。

 

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図-7 Process Map (PM) : Road Design to Quantity take-off

 

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図-8 Exchange Requirements table : Road Design to Quantity take-off

 

 また,仕様書と共にIfcRoafのコンバータ,Viewerも図-9に示すように準備されており,図-10に示すようなViewerが提供される模様である。また,データ交換の検証も図-11のような方法で進んでいる。これらは韓国において,IFCの専門家,道路エンジニア,建設会社など外部の専門家グループによって行われ,コンバータとビューア(IFC変換の適合性,空間構造の確認,各構造について不足しているエンティティの抽出)と検証を行った。その作業を通してIfcRoadスキーマの確認とインフラオブジェクトと3Dモデルを変換する(例えば。オートデスクのRevit / Civil3D)手順と,スタンドアロンシステムでifcRoadスキーマと変換した3Dモデルの識別が可能かを検証したようである。これらに関してもKICTとの情報交換を継続し,情報を入手することとしている。

 

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図-9 IfcRoad Converter and Viewerの概要

 

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図-10 IfcRoad Viewer

 

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図-11 IfcRoad のデータ交換と可視化の概念図

 

 なお,ifcRoadはトンネル,橋梁への拡張も視野に入れており,特に橋梁に関しては開発が進行中のifcBridgeとの整合性,開発の主導などが今後問題になってくるであろう。

8. ifcRoadのケーススタディ

 KICTではifcRoadのQTOプロセスの検証を下記のように実施した(対象となった道路は図-12参照)。
【道路プロジェクトの概要】

  • 目的:BIMベースのifcRoadを用いて,実際の道路事業に対してQTOプロセスの検証を行う
  • ケーススタディ期間:2015年7月~11月(約5ヶ月)
  • ケーススタディ予算:約120,000ドル(3Dモデリング,IfcRoadの適用,経済性の評価)
  • ターゲットモデル:道路,土工,橋梁,トンネル,コンポーネントとして鉄筋など
  • 道路プロジェクト名:eolak-CheongpyeongRoad道路建設事業(京畿道,加平)
  • 道路施設:道路本体,土工など,ED型橋梁(CheongpyeongBridge,720メートル),NATM型トンネル(SeolakTunnel,924メートル),付帯設備,道路排水施設
  • 全長:3.9キロ,幅:10.5メートルの-11.5m(2レーン)
  • BIMの活用:市民苦情対応(情報公開),デザインの変更,QTO,スケジュール管理,施工性(施工手順)の確認

 

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図-12 IfcRoad の適用実験

 

 この適用実験は図-13に示す手順で実施され,ifcRoadの拡張スキーマの検証として以下の項目の確認作業が実施された。

  • 3Dモデリ:コンポーネント/部品や鉄筋の描画(モデルコーディネーション)
  • 4Dモデリ:計画工期(工程)の表現
  • 5Dモデル:数量・積算
  • ifcRoadのデータ交換テスト:(RevitとCivil3Dとの変換エラーチェック,配信プロセスの分析などを含む市販のソフトウェアでの幾何学的形状表現テスト)
  • IfcRoadスキーマに基づいて新しいコンバータとビューアの検証
  • 政府機関による道路プロジェクトに適用した場合の経済性評価(インフラBIMの実現可能性の検証)
  • ifcRoad利用効果の確認:市民苦情(情報開示),設計変更,QTO,スケジュール管理,施工分析

 

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図-13 適用実験の検証プロセス

 

 IfcRoadとケーススタディに関してはKICTから概要が説明されたが,図-14~19に示すように設計モデルとして実用的な域に達しているものと感じられた。また,QTOに関しては鉄筋や型枠の拾い出しなど課題は多いものの,大枠では数量算出や積算に適用可能であるものと考えられた。ただし,これらに関してもドキュメント(仕様書)の英語版の到着を待って評価を行う必要がある。

 

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図-14 3D modeling sample for the road project

 

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図-15 Terrain and Road (Corridor)/Bridge model

 

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図-16 Tunnel and Structure model

 

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図-17 Shop Drawing (Rebar)

 

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図-18 Design coordination

 

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図-19 2次元図面との比較検証

 

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図-20 道路事業に対する3次元モデルベースでのQTOの検証

 

 この後の計画として,KICTは以下のように説明した。

  • ifcRoadの拡張版に関しては,BSIの専門家によるIDMの確認後,IDMを修正し配布予定。
  • 道路プロジェクトで実際のケーススタディを実行した。ケーススタディ完了後,KICTは道路スキーマの改善の検討している。次に,MVD(モデルビューの定義は)MSG+ KICTのメンバーによって実施予定。
  • 新しいコンバータとビューアソフトウェアが開発されている。任意の商用ソフトウェアにエクスポートできるIfcRoadスキーマを有効にする(オープンAPIなど)IfcRoad*.dllエンジンを開発中。
  • 修正されたIfcRoadスキーマ,IfcRoad仕様のHTMLバージョンを作成中。

 なお,おおよその工程は以下のように示されている。

  • 2015年12月30日:パイロットプロジェクトの3Dモデル完成(LOD〜300~350)
  • 2016年2月29日:IfcRoadコンバータとビューアの完成
  • 2016年2月1日6〜3月15日:IfcRoadのIDM(Qsets)に基づいてQTOプロセスのテスト,パイロットモデルを使用してIfcRoad変換テスト
  • 2016年2月29日:パイロットプロジェクトのレポート
  • 2016年3月30日:IfcRoadのオンライン化と仕様書の配布

 

9. まとめ

 今回のKICTにおけるミーティングにおける総括は以下の通りである。

  1. University of SeoulのDr.KimおよびKICTのDr.Moonをはじめとする開発メンバーとIfc-Roadに関する深い意見交換を行ったことは,大変重要な機会であった。この会議にはDr. Thomasu Liebich,およびTim Chipmanも参加し,開発の状況などを直接聞く機会を得たことは重要である。
  2. Ifc-Roadは道路の幾何形状を表現するには実用上十分である。道路構造物のオブジェクトの形状,属性を表現するという観点でも実用的なレベルにある。
  3. Ifc-RoadとIfc-Alignmentの連携は,Ifc-Alignment1.1の展開とあわせて検討される予定である。
  4. Ifc-Roadの空間要素の構成は,既存のBIMにおける建築構造物の構成要素と考え方おおむね同じであり,既存のIfcに対応したソフトウエアでのインポート/エクスポートに対しても十分に対応可能と思われる。
  5. IfcRoadの物理要素に関連するエンティティは200を超え非常に多い。これらの整理が必要であることはThomas Liebichも同意見である。
  6. 本ミーティングにおいて,最新スキーマ,ターミノロジー,デモンストレーションで用いたモデルのIfcファイル等のドキュメント,およびコンバーターとビューワーの提供を再三求めた。この提供に関してはDr.Kimはドキュメントを英語版にしてから提供出来る旨口頭で約束したが現時点では入手できていない。これに関しては,日本とKICTで何らかの契約を結ぶ必要があるかもしれない。
  7. 橋梁モデルについては米韓でコラボレーションが行われている模様。
  8. 米韓それぞれにフランスのIFC-Bridgeとの関係を尋ねた。韓国は,フランスと数回意見交換を行ったが,フランスの取り組みは橋梁の上位概念を扱っており,韓国の物体を記述する目的とは異なると見解で,フランスとのコラボレーションは行っていないという。アメリカも同様に,現状ではフランスとのコラボレーションは行っていない。既存のIfc-Bridgeとの整合や開発主導に関して問題が起こると思われる。
  9. 今後,国内の道路モデル適用実験を行う上でもKICTとの情報交換が重要である。国内の道路設計モデル適用実験を現在計画中であるが,KICTモデルの適用は面白い試みになると考えられる。そのためにKICTとのifcRoad-kの適用に対しての契約(秘密保持など)を行う必要を痛感した。

 

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図-20 KICTの位置

 

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図-21 KICT外観

 

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図-22 ミーティング参加者

 

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図-23 会議室全景
(通訳ブースがあり,韓英の同時通訳が行われていた)

 

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